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血塗られた階段を上がり、
王座についた男ヘロデ。
自らの兄を殺して王となり、
その妻ヘロディアを妃に迎えた
亡き兄とヘロディアの娘、
サロメから
王の眼差しが離れることはない。
サロメはどこだ!


あの娘に構いすぎではありませんこと?

おお、見よ、今宵の月を!

なんと不思議な月だろう

夜な夜な男を求めてさまよい歩く、気のふれた女のよう

いいえ、月は月に似ている、ただそれだけのことでございます

何か不吉な災いが起きそうな、風か?

鳥の羽ばたきのような音が聞こえるぞ!

いいえ、風など吹いてはおりませぬ
羽ばたきなどは聞こえませぬ

もう今は聞こえなくなった
いや、また聞こえてきたぞ!

御加減が悪いのでしょう、中へ戻りましょう

いいや、わしはどこも悪くはない
おお、サロメ、そこにおったか

そんなに蒼い顔をして、さあ、こっちへ来てわしと一杯やらんか

おまえの小さな赤い唇でこの盃を濡らしておくれ

のどが渇いてはおりませぬ、王様

聞いたか、お前の娘の言葉を
娘はのどが渇いていないのです
それ程お構いにならなくとも宜しいでしょうに

誰か果物を持ってまいれ!
さあ、サロメ、わしと一緒に一口かじっておくれ
おまえの小さな白い歯の跡が見たい

お腹が空いてはおりませぬ、王様

お前もよく娘をしつけたものだな

私と娘は王族の出です、しつけに関して言われたくはありませぬ

あなたの父上はらくだ使いで、おまけに泥棒だったとか?

嘘を言うな!
あなた様がよくご存知のことを申したまででございます

もうよい、お前は黙っておれ
さあ、サロメ、こっちへ来てわしと一緒に腰掛けぬか?

疲れてはおりませぬ、王様



あの男を黙らせてくださいませ!
絶えず私の悪口ばかり言う男の声など聞きたくはありませぬ

おまえの悪口など言うてはおらんわ
あの男は神の言葉を、未来のことを話すのだ
いたるところで奇跡を起こしている者、
神の姿を見たことがあるとか
あの男は神の言葉を、未来のことを話すのだ

未来のことなど誰にわかりましょう?
奇跡!奇跡なんて信じられません!
これまで嫌というほど見せつけられてきた私、
それはあなたも同じこと
血の海を渡ってきて今さら奇跡だなんて!
あなたはあの男を恐れていらっしゃる
それが私にはよくわかりましてよ

わしは誰も恐れてなどおらんわ!





あれはあなたのこと!
蛆の餌になると申しております

あれは隣国の王のことだ
わしが兄嫁を妻にしたこと以外、あの男がわしを悪く言うことはない

おそらくあいつは正しい、お前が産まず女だとは思いもよらなかった
あいつはわれらの結婚は正しくないと言っておるのだ

わたしが産まず女?
子供ができないのはあなたの方じゃありませんか?
奴隷たちの一人も身ごもらなかった

子供ができないのはあなたの方です!

そもそもが禍を招く婚姻だったのだ

しかしわしは楽しい!
満ち満ちておる、何一つ不足なものはない!

あなた様のご機嫌がよろしくてわたしも嬉しい限りですわ
それにしても夜も更けました、もう中へ入りましょう

サロメ、サロメ、わしのために踊ってはくれぬか?
今しがたまたあの羽ばたきが聞こえた、
どうにも気が滅入って仕方のない音だ

踊ってくれたら何でも欲しいものを褒美にやろう
たとえこの国の領土の半分でも、
お前の望むものを何でもやろうじゃないか

何でも?
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